素麺屋ブログ

2023/10/01 00:58

 【お!いしい けんぶんろく】 Vol.22

麺究者への道/蕎麦を研究してみる

 

 さて、秋といえば新蕎麦の季節!

と当たり前のように思っていたのですが、蕎麦について調べると、なんと新蕎麦の季節は2回あるそうですね。

関東方面で勤めていた頃には、秋になると蕎麦が食べたくなるな〜と思っていましたが、違いは蕎麦の産地の差だとか。

「新蕎麦」と麺類で「新」が付くのは蕎麦だけ(だと思うのですが)。

原料になる蕎麦の季節感というか、旬のものという感じがして、表現が日本人らしいですね。

 

蕎麦と言えば一般的に、穀物の蕎麦の実を使った蕎麦粉を加工した麺のことを指します。

中華そばとの対比で「日本そば」と呼ばれることも。

全国製麺協同組合連合会では、原料において蕎麦粉30%以上・小麦粉70%以下の割合で混合したものを「日本そば」と呼んでいるそうです。

現在食べられている麺状の蕎麦は「蕎麦切り」と言うそうです。

蕎麦切りの技術が取り入れられるまでは、粒のままお粥のようにして、また蕎麦粉を熱湯でこねて餅状にした「そばがき」や、蕎麦粉を水で溶いて焼いた「そばやき」として食べられていたようです。

今回は、いわゆる「蕎麦」について、その歴史や製法、全国各地での食べられ方や世界の蕎麦事情などを調べてみました。

 

時代劇やドラマを見ていると、蕎麦やうどん(特に関西とか?)を食べるシーンは出てきますが、素麺の出演のチャンスは見かけません。

きっと、それだけ愛されるには秘密があるはずです。

その“蕎麦の秘密”に迫ってみたいと思いますので、今回もお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 

 

【目次】

① 秋の季語でもある「新蕎麦」、実は年2回味わえる!

② 日本三大蕎麦をはじめ、多彩なご当地蕎麦がある!

③ 蕎⻨の歴史は稲作より古い!参勤交代で全国へ普及!

④ 粉の挽き方、製粉の度合い、つなぎの割合などによって多様!

⑤ 年越し、節分、引越し…行事食としての蕎麦

⑥ 「蕎麦切り」以外の形状で食べる風習が各地に!

⑦ 世界中で愛される蕎麦を使った料理

 


 

① 秋の季語でもある「新蕎麦」、実は年2回味わえる!

 

「新蕎麦」は、蕎麦の実の収穫から提供までの期間が約1~2カ月の蕎麦をさす言葉。

蕎麦ならではの風味が楽しめる新蕎麦は、歳時記では秋の季語ですが、実は夏蕎麦と秋蕎麦の2種類あるそうです。

 

【夏蕎麦】4月上旬~8月中旬

長野県の「しなの夏蕎麦」が有名で、種まきから収穫が約50日間と短い。

別名「夏新(なつしん)」。

香りは淡く、秋蕎麦より清涼感のある味わいが特徴。

 

【秋蕎麦】10~12月

茨城県の「常陸(ひたち)秋蕎麦」や群馬県の「上州秋蕎麦」などが有名。

別名「秋新(あきしん)」。

芳醇で豊かな香りとほんのりとした甘さがあり、きれいな緑色が特徴。

 

蕎麦の生産量1位でシェア4割以上を占める北海道では、年に一度しか収穫されないため、夏蕎麦と秋蕎麦の区別はないそうです。

ちなみにシェア2位は長野県、3位栃木県、4位茨城県となっています。

 

 

<参考サイト>

・日本そば

https://zenmenren.or.jp/raw_noodle_iroiro/japanese_soba/

・新蕎麦は「秋蕎麦・夏蕎麦」の年2回!時期や味わい・産地など特徴の違いを比較して紹介!

https://chisou-media.jp/posts/3852

・【都道府県】蕎麦(そば)の産地・生産量ランキング

https://urahyoji.com/crops-soba/

 

 

 


 

 

② 日本三大蕎麦をはじめ、多彩なご当地蕎麦がある!

 

全国各地で食べられている蕎麦ですが、「日本三大蕎麦」と言われるものをご存知でしょうか。

どれも歴史があり知名度の高いもので、その地の名物となっています。

 

【わんこそば】(岩手県)

蕎麦を少量ずつ椀に入れて提供します。

客の近くに給仕人がいて、蕎麦を食べたら即座に蕎麦を継ぎ足していく、独特の提供方法が有名です。

温かい蕎麦を、あらかじめ濃いめの麺つゆにくぐらせてあるそうです。

 

わんこそばの起源には2つの説があります。

安土桃山~江戸時代初期の大名・南部利直が花巻で漆の器に入った蕎麦を食べたのが起源という説と、大正時代の内閣総理大臣・原敬が盛岡に帰省した際「蕎麦はわんこ(お椀)に限る」と言ったことが起源という説だそうです。

 

【出雲そば】(島根県)

蕎麦の実を丸ごと挽いてつくった蕎麦粉を用いるため、香りや風味が強い蕎麦。

やや黒っぽい色あいで、コシが強くのどごしがしっかりしています。

冷たい「割子そば」と、温かい「釜揚げそば」の2通りで食べられています。

江戸時代の大名・松平直政が1638年に島根県を訪れた際、信州の「蕎麦切り」を出雲に伝えたのが発祥とされています。

 

【戸隠そば】(長野県)

蕎麦の実の甘皮を除かず、麺棒1本で丸延ししてつくられる蕎麦。

「ぼっち盛り」という提供方法が特徴で、水をほとんど切らず、一口大にして円形のざるに盛り付け、薬味に辛み大根を添えます。

1709年におもてなしのための特別な料理としてふるまわれたという記録が残っています。

 

日本三大蕎麦以外にも、ご当地蕎麦として知られるものがたくさんありますので、いくつかご紹介します。

 

【深大寺そば】(東京都)

調布市の深大寺で来客用に振る舞われたのが起源。

良質な湧き水が豊富で蕎麦の栽培に適していた。

温かい蕎麦に醤油ベースのつゆがかけてあるもの、冷たい蕎麦を濃いめのつゆにつけながら食べるもの、冷たい蕎麦に冷たいつゆがかけてあるものがある。

 

【へぎそば】(新潟県)

小千谷市や十日町市の名物。

「へぎ」と呼ばれる木の器に、「手繰り・手振り」という方法で、一口サイズで盛り付けられている。

布海苔(フノリ)という海草をつなぎに使い、コシの強さとのど越しの良さが特徴。

 

 

【更科そば】(長野県)

激しい寒暖差や澄んだ山水から、蕎麦の栽培に適しており、地域によって色や風味が異なる。

様々な味わいを楽しめる信州蕎麦の中でも「更級そば」は、白っぽい色とさっぱりした風味、つるつるしたのどごしの良さが特徴。

 

【越前おろしそば】(福井県)

やや太めで黒っぽく、コシの強い蕎麦に、辛味大根おろし、ネギ、鰹節をたっぷり乗せ、直接出汁をかけて食べるのが一般的。

つけ汁に大根おろしを入れて食べるスタイルもあるとのこと。

 

【にしんそば】(京都府・北海道)

温かいかけそばの上に、骨まで柔らかく煮た身欠きニシンの甘露煮をのせる。

北海道では、汁は関東風で濃い色をしていて出汁も濃いのが特徴で、京都は薄い味付けの出汁が特徴。

ニシンの脂と旨味が溶け出し、食べ進めるとコク深い味わいへの変化が楽しめる。

京都市民は年越し蕎麦として「にしんそば」を食べることも多いのだとか。


【出石そば】(兵庫県)

「出石皿そば」とも呼ばれる。

お皿に盛られた蕎麦を、ネギやゴマ、ショウガなどの薬味をたっぷり入れたつゆにつけて食べる。

  

【瓦そば】(山口県)

下関市豊浦町で生まれた郷土料理。

熱々の瓦の上に、茶蕎麦と錦糸卵、牛肉、レモン、ネギなどの具材をのせ、温かいつゆにつけて食べる。

  

【祖谷そば】(徳島県)

つなぎなしで仕上げた素朴な味わいで、一般的なものよりも短く太い形が特徴。

祖谷は良質な蕎麦の産地で、麺としてだけでなく「そば米」として実のまま食す文化もあるとのこと。

 

<参考サイト>

・日本三大そばの歴史を紹介!蕎麦が全国に広まった理由も考察

https://www.sobahonda.co.jp/blog/japan-soba-history/

・本場で食べたい!わざわざ食べに行きたい日本全国のご当地そば10選

https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/68a9C

 

  


 

③ 蕎⻨の歴史は稲作より古い!参勤交代で全国へ普及!

 

蕎麦の実の原産地は、中国の江地と呼ばれる東チベット、四川省、雲南省の境界領域と言われています。

日本では、高知県の遺跡から9300年前の蕎麦の花粉が出土しており、埼玉県の遺跡からは3000年前の蕎麦の種子が発見されています。

稲作より古くから蕎麦が栽培されていたと考えられます。

初期の蕎麦は、現在のような麺状ではなく、粒のまま粥として食べられていたようです。

殻が硬く脱穀が難しかったことから、稲のように主食にはならなかったと考えられています。

蕎麦はやせた土地でも育つ強い植物なので、奈良時代の「続日本紀」によると、飢饉を防ぐために栽培が推奨されていたそうです。

 

鎌倉時代には中国から石臼(いしうす)の技術が伝わり、蕎麦粉を大量に挽くことができるようになりました。

「そばがき」と呼ばれる団子やもちのような蕎麦を、箸でちぎり汁につけて食べていたそうです。

 

室町から江戸時代初期、麺状の「蕎麦切り」が生まれました。

長野県の「定勝寺文書」という書物に、戦国時代の天正2年(1574年)に「蕎麦切り」が振る舞われたという記録が残っています。

 

 

江戸時代には、蕎麦は各諸大名から将軍家へ献上されるほどの高価な食べ物となりました。

江戸時代の前半までは蕎麦よりうどんが主流だったらしく、また当時醤油は高価だったため、一般的に出回るようになるまで蕎麦つゆは味噌でつくられていたようです。

18世紀中頃から、江戸中に3千軒とも言われるほど蕎麦屋が増え、屋台の蕎麦も登場します。

江戸時代後期には、蕎麦粉と小麦粉を混ぜた「二八蕎麦」などが広く出回り、現在のように茹でる蕎麦が主流となったそうです。

それに対して、蕎麦粉だけで打った「十割蕎麦」はつなぎにくく切れやすいので、当時は蒸籠にのせて蒸し、そのまま提供していたようです。

現在も「盛りそば」を「せいろそば」と呼ぶのはその名残だそうです。

 

各地の大名が、参勤交代で江戸から領地に戻る際に「蕎麦切り」の技術を持ち帰ったことで、全国に普及し、土地ごとの特色が反映されてご当地蕎麦が発展していったと考えられます。

蕎麦は東日本でのイメージがありますが、決してそうではないことが分かります。

ただ、元々は寒冷地でも育つ蕎麦が東日本で盛んになり、その食文化も深く根付いたと考えられます。

産地で有名な出雲や出石は西日本に位置しますが、山陰や山間部の雪の多い地帯で、上述の参勤交代にあわせて寒冷地でも育つ食物として持ち込まれ盛んになっていったのでしょう。

 

ちなみに、西日本でうどんや素麺のイメージがあるのは、温暖な地域であり、米の二毛作として小麦栽培が盛んになったためと考えられます。

こういった、気候や食物の栽培の拡がりが日本の食文化の拡がりや分布に影響するのは、当然のことなのかも知れませんね。

 

もうひとつちなむと、現在の蕎麦屋には必ずと言っていいほど日本酒が置いてありますが、その起源は江戸時代にあります。

豊島屋十兵衛門という人が、商人や武士などをターゲットにした食事処兼酒場を生み出しました。

そこで提供されていたのが蕎麦です。

注文を受けてから切って茹でるので、提供するまでに時間がかかります。

それを待っている間に焼き海苔や蕎麦味噌などをつまみにして日本酒を飲み、お酒がなくなる頃に蕎麦がちょうど出来上がり食べる、という流れが一般的になりました。

現在でも“蕎麦屋と言えば日本酒”というのはその名残のようです。

 

<参考サイト>

・蕎麦のルーツと歴史

https://sobadou.com/sobanorekisi/

・蕎麦屋になぜいつも日本酒が置いてあるの?実は深い日本酒と蕎麦の関係

https://www.sakebayashi.com/sake-ryori-soba

 

  


  

④ 粉の挽き方、製粉の度合い、つなぎの割合などによって多様!

 

私たちが食べている蕎麦は、どのように製粉、製麺されるのでしょうか。

収穫した状態の、硬い皮(そばがら)がついたままの蕎麦の実を「玄そば」と言います。

玄そばを乾燥させ、付着している不純物を取り除き、表面をピカピカに磨きます。

そしてそばがらを割って中の実を分離させ、製粉します。

蕎麦粉の挽き方は大きく2通りに分けられます。

【石臼挽き】

上下の石の間に溝が掘ってあり、そこを通らせることにより製粉する。

熱を持ちにくい製法なので、風味が残りやすいのが特徴。

 

【ロール挽き】

回転する2本のロールの間に蕎麦の実を通して製粉する。

比較的短時間で大量に製粉できる。

 

蕎麦粉は製粉の度合いによって、香りと風味が変化します。一般的に4通りに分けられるようです。

【更科蕎麦】

製粉する際、最初に出てくる胚芽や内層粉は「1番粉」、1番粉だけで打った蕎麦は「更科蕎麦」と呼ばれ、真っ白に仕上がる

香りは強くないがのどごしが良く、甘みがある。

 

【藪蕎麦】

次に出てくる中層粉は「2番粉」、「藪蕎麦」と呼ばれ、蕎麦らしい灰色を帯びていて、香りや甘み、つるりとした食感のある麺になる。

製菓用や韓国冷麺の素材としても用いられる。

【田舎蕎麦】

最後に出てくる外層粉は、甘皮ともいい「3番粉」と呼ばれる。

栄養が凝縮されており、蕎麦らしい香りも楽しめるのが特徴。

1〜3番粉を使用した「田舎蕎麦」は色もぐんと濃くなり、黒っぽい麺になる。 

【挽きぐるみ】

甘皮を残した蕎麦の実を挽いたものと、「玄そば」を引いたものの2種類がある。

「出雲そば」には「玄そば」が使われており、より黒っぽい麺に仕上がる。

蕎麦粉はデンプンが少なく切れやすいため、小麦粉などをつなぎとして使うことが多いです。


蕎麦粉とつなぎの割合を示す名称には下記のようなものがあります。

【二八蕎麦】

つなぎの小麦粉が2割・蕎麦粉が8割の割合でつくられた蕎麦のこと。

【十割蕎麦】

100%蕎麦粉でつくられた蕎麦のこと。

 

蕎麦の打ち方は、大きく5段階に分けられます。

【①回 し】 粉に水を何回かに分けて加え、混ぜ合わせながら生地をまとめていく。

【②こ ね】 こね鉢に押し付けるようにして、蕎麦玉の表面がつるつるになるまでこね上げる。

【③延ばし】 のし台に打ち粉を振り、蕎麦玉を手のひらで押し広げ、打ち粉を振って麺棒で広げる。

【④たたむ】 均一に伸ばした生地を、蕎麦切り包丁の刃の幅より短くなるようにたたむ。

【⑤切 る】 できるだけ同じ厚さ・太さになるよう、垂直に切っていく。

 

おいしい蕎麦の三つの条件「3立て」をご存知でしょうか?

「挽きたて=製粉してすぐの粉を使い、「打ち立て」=打ったばかりの生地を包丁で切り、「茹でたて」=ゆで上げて素早く水切りして提供。

さらに新蕎麦の季節は「採れたて」を加えた「4たて」とも言われています。

 

 <参考サイト>

・美味しい手打ちそばができるまでの過程を紹介します

https://sobashin.jp/211/

・そばを学ぶ ~そば粉の種類~

https://matsuyaseifun.co.jp/soba/study/type/

・そばの製粉で風味や香りが全く異なる!よく聞く「挽きぐるみ」とは?

https://www.sobahonda.co.jp/blog/soba_hikigurumi/

・そばの散歩道 めんの数字あれこれ

https://www.nichimen.or.jp/know/number/04/

・そば打ち初心者でもわかる!手順を理解すればそば通の仲間入り。《そば打ち編》

https://www.sobahonda.co.jp/blog/sobauchi-2/

・16. そばは三たてでいただくべし

https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/sobajiten/016.php

 

  


  

⑤ 年越し、節分、引越し…行事食としての蕎麦

 

蕎麦は日常的に食べられる料理ですが、年中行事や引っ越しなどの際に食べる行事食としての一面もあります。

いくつかご紹介します。

【年越しそば】

大晦日に食べる蕎麦は、「晦日(みそか)そば」と呼ばれていました。

また、正月を迎えると数え年で一歳年をとるとされていたことから「年取りそば」とも呼ばれました。

蕎麦は長く伸びることから長寿への願いや、災厄を断ち切る意味あい、また「打つ」ものなので、相手を討つ、つまり勝つ、という意味もあるそうです。 

【節分そば】

“本来”の「年越しそば」は、実は節分に食べる「節分そば」が「年越しそば」だったそうです。

江戸時代中頃から、江戸市中では毎月の晦日(月末)や節分(立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日)に蕎麦を食べる風習があったそうですが、今では特に立春の前日を指して節分と呼ばれるようになっています。

立春の前日の節分は“大寒”の最終日で、冬から春への節目の日です。

そのため江戸時代には、大晦日ではなく節分を本当の年越しと言う考え方があったそうで、研究家の方によれば“本来”の「年越しそば」は、「節分そば」と言うことになるそうですよ。

今でも東京・調布市の深大寺などでは、節分(立春の前日)に「節分そば」を食べるイベントが行なわれています。 

【引越しそば】

江戸時代中頃、江戸の庶民が引越しの挨拶として蕎麦を配るようになりました。

これには、安価で喜ばれる、「末永くおそばに」「蕎麦のように細く長いお付き合いを」の意味がある、などと言われています。

大正時代には「そば切手」という、蕎麦店が発行する食事券や商品券のようなものを配るようになりました。

その後、引越しの挨拶用に「そば切手」を購入するついでに、新居で自分たちが食べる蕎麦を注文する人が増え、自分たちのために新居で食べるものという考えが広まったと考えられています。

  

<参考サイト>

・年越しそばをなぜ年末に食べるのか、その理由と由来について【日本料理研究家が回答します】

https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/21329/

・引越しそばを配ったり、食べたりする理由と由来とは?食べるタイミングはいつ?

https://jpnculture.net/hikkoshi-soba/

 

 


 

⑥ 「蕎麦切り」以外の形状で食べる風習が各地に!

 

蕎麦と言えば麺状の「蕎麦切り」を思い浮かべますが、麺以外の形状の蕎麦料理が伝わる地域もいろいろあります。

こう見ると、東日本で蕎麦文化が大切にされてきていることが分かるような気がします。

【そばかっけ】(青森県・岩手県)

青森県南部から岩手県北部にかけて伝わる。

「欠片(かっけ)」とは、切れ端またはかけらの意味、「はっと」とも言われる。

蕎麦生地を延ばして三角形に切り、大根と豆腐を煮た鍋の中に入れ、浮き上がったらネギ味噌またはニンニク味噌をつけて食する。

【うちわ餅】(秋田県・岩手県)

蕎麦粉を熱湯でこねて握りこぶしの大きさに分け、平串に刺して棒状に延ばし、さらにうちわのような丸い形に成型して茹でる。

すりつぶしたエゴマに味噌砂糖を加えまぜて混ぜたものを塗り付けて焼くが、クルミ味噌をつける場合も。

お客様をもてなすお菓子としてつくられた。

【ほど焼き】(岩手県)

「火床焼き」と呼ぶ地方も。

蕎麦粉を水で溶いてつくった団子の中に、小豆餡や黒砂糖とミルクを入れて包み、柏の葉で包んで囲炉裏の熱い灰の中で蒸し焼きにする。

【柳ばっと】(岩手県)

遠野周辺で、軽いおもてなしに用いられた。

「柳葉」または「てこすりだんご」とも。蕎麦粉を水でこねて寝かせ、小さくちぎり、親指で平らに延ばして柳の葉の形にする。

大根、舞茸、鶏肉などと合せて味噌仕立ての具にしたり、茹でてネギ味噌や酢味噌をつけたりして食べる。

【梁越(はりこ)しまんじゅう】(長野県)

南佐久郡川上村周辺に伝わる蕎麦焼き餅。

蕎麦粉を振り入れた椀の中に、ネギ味噌を混ぜた蕎麦玉を入れ、上からも蕎麦粉を入れてお手玉のように放り上げながら丸め、丸くなったら柏の葉で包み、囲炉裏の熱い灰の中で蒸し焼きにする。

【そばおやき】(長野県)

蕎麦焼きもちのひとつ。

「そばがき」をそのまま丸い形にしたものや、その中に漬け物や小豆餡を包んで焼いたものがある。 

【そばすべし】(徳島県)

三好市東祖谷山地区でつくられる。

イリコ出汁で人参、豆腐、鶏肉、大根の葉などを煮込み、汁をかき混ぜながら蕎麦粉を振り入れ、汁にとろみをつけて仕上げる。

【そば米(ごめ)雑炊】(徳島県)

祖谷地方の保存食品。「玄そば」を茹でて、乾燥・脱穀してそばがらを取り除き、おかゆの要領で炊く。

 

<参考サイト>

・日本と世界のそば料理

https://sobadou.com/sobaryouri/

 

 


  

⑦ 世界中で愛される蕎⻨を使った料理

 

いわゆる蕎麦は日本食の代表的なものですが、穀物の蕎麦で言えば、実は世界中の各地で蕎麦料理は食べられています。

いくつかの国の蕎麦料理について、調べてみました。

正直、知っているのはフランスの「ガレット」くらいでした。

 

【フランス】

蕎麦粉の「クレープ」や「ガレット」が食べられている。

 

【スロベニア】

一人あたりの蕎麦の消費量は日本より多い。日本の玄そばにあたる、外皮を取った「カーシャ」と呼ばれるものを、日本の米のように料理して食べる。また、粉にしてミルクに入れる、団子にする、そばがきのようなものにバターをつける、など多様な食べ方がある。

 

【イタリア】

きしめんのような形状の「ピツォケリ」という蕎麦粉のパスタがある。また、水でこねた軟らかいそばがきにグラッパという蒸留酒を少し入れ、スプーンですくって中にチーズを入れ素揚げにした「シアット」という料理も。

 

【ポーランド】

米のように蕎麦米として食べるのが一般的。蕎麦米を詰めたソーセージやマトン料理、豚料理などがある。

 

【チェコ】

蕎麦米を詰めたソーセージや、蕎麦ハーブ茶などが食されている。

 

【スイス】

「シュベッレ」というパスタ料理や、トウモロコシと蕎麦セモリナ粉からつくる「ボレンタ」という料理がある。

 

【ヒマラヤ諸国】

フライパンや直火で焼く、パインケーキやクレープ風のものが多い。ニンニクや唐辛子を入れたタレをつけて食べるのが一般的。

 

【ロシア】

「カーシャ」が主流。蕎麦粉を使ったパンケーキ「ブリヌイ」なども。

 

【中国】

内モンゴルや少数民族の間では日常的にそばが食べられてきた。

 

【南北朝鮮】

蕎麦粉を使った冷麺のほか、「ムー」と呼ばれる羊羹状の伝統的な料理がある。

 

<参考サイト>

・日本と世界のそば料理

https://sobadou.com/sobaryouri/

・【日本より蕎麦を多く食べる国は?】蕎麦の歴史がスゴかった!

https://muccarana.com/soba_history

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

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